研究紹介(2009年度)

Xバンド偏波レーダ用降水粒子判別法の開発

偏波レーダは水平・垂直の2方向の直線偏波を用いることで降水粒子の 形状や落下姿勢の情報を得ることができ、これらの情報は降水粒子の 種類判別(粒子判別)に用いることができる。アメリカやヨーロッパでは、 激しい気象現象の監視・予測への利用を目的として主にSバンドやCバンドの 偏波レーダを用いて早くから粒子判別の研究が行われてきた。近年日本でも Xバンドの偏波レーダの導入が始まっており、名古屋大学にも2007年秋に Xバンド偏波レーダが導入された。本研究では名古屋大学の偏波レーダを 用いてXバンド偏波レーダ用の粒子判別法の開発を試みた。

粒子判別法にはSバンド用に開発されたファジー理論を用いた判別法 (Liu and Chandrasekar, 2000)を基本スキームとして採用し、雨・雪・霰など、 10種類の降水粒子の判別を試みた。この判別法ではレーダ観測で得られる 偏波パラメータと気温のデータからメンバーシップ関数を用いて各降水粒子が 存在する可能性を評価し、最も存在する可能性の高い降水粒子をその サンプリング体積における主たる降水粒子とした。本研究では名古屋大学の 偏波レーダによる観測で得られる反射強度(Zh)、反射因子差(ZDR)、 偏波間位相差変化率(KDP)、偏波間相関係数(ρhv)の4種類の 偏波パラメータと気温のメンバーシップ関数を作成し、粒子判別を試みた。

偏波パラメータのうち、値が波長に依存するKDP についてはSバンド用のメンバーシップ関数を Xバンド用に改変した。また、雪片の融解温度が大気中の相対湿度によって変化するため、 気温のメンバーシップ関数の形を相対湿度によって変形させることとした。 気温と湿度は地上観測と高層気象観測のデータを使用して鉛直分布を推定した。 これらの値を用いて粒子判別を行った。

本研究では冬季の降雪時の偏波レーダによる観測と、降水粒子の地上観測結果を用いて 粒子判別法の開発を行った。今回開発した粒子判別法では地上で降雪が観測された 地点の直上で雪片が判別され、適切に粒子判別を行えていることを確認した。 そこで、開発に用いたものとは別の降雪事例(名古屋市周辺)、 霰が降った事例(能登半島周辺)、及び夏季の雷雨の事例(名古屋市周辺)に ついて粒子判別を試みた。

降雪事例の場合、地上付近でも雪片が判別され、判別結果が妥当であることを確認できた。 霰の事例では反射強度が強い領域に対応して霰が判別された。 夏の雷雨の事例では下層に雨、0°C 高度付近に霰、その上方に乾雪(雪片)という、 良く知られた雷雲内の降水粒子の分布特性と整合的な判別結果が得られた(図1)。 雷雲中において霰を判別できたため、霰と判別された領域の体積の時間変化と 落雷頻度との関係を調べた。この結果、霰と判別された領域の体積が急激に増加する タイミングで落雷が観測され始め、雷雲中に霰がほとんど判別されなくなるまで続いた。 この判別結果は雷という現象の発生に対して整合的である。

fig1

図1. 名古屋大学設置の偏波レーダによる2009年8月6日11時17分における 雷雲の鉛直断面の粒子判別結果。

偏波レーダーから見積もった梅雨期沖縄における対流セルの粒径分布パラメータの特徴

梅雨期の沖縄では、発達高度の低い(背が低い)対流セルが存在することや、 対流性降水域だけでなく、層状性降水域内部においても対流セルが観測される など、湿潤環境場特有の対流セルの特徴を示すことが知られている。 このような対流セルの雲微物理的な特性を定量的に把握するために、 偏波レーダーの観測データ(レーダー反射強度:Zhやレーダー反射因子差: ZDR)から、背の低い対流セルの雨滴粒径分布(DSD)パラメータの 見積もりを試みた。梅雨期沖縄で頻繁に観測される背の低い対流セル (30 dBZのエコー頂が6 km以下)である、3つの対流セル(降水システムの 層状性降水域に存在した対流セル、降水システムの対流性降水域に存在した 対流セル、孤立した対流セル)を対象とした。

DSDパラメータを見積もるために、偏波パラメータとDSDパラメータの関係式を用いた。 粒径の中央値D0の見積もりには、Bringi et al. (2006)から以下の式を用いた:

ここで、ZDR=10log10ξdrである。 地上のDSD観測データから算出したD0、ξdrと 式(1)(2)を図2aに示す。観測では、ξdr>1.3のデータは 十分に得られていないものの、ξdr<1.3では式(1)とよく一致した。 雨滴の数密度に関係するnormalized intercept parameter(Nw) の見積もりには、地上観測によるDSDデータから得た以下の関係式を用いた(図2b):

これらの式を用いて、レーダーで観測された偏波パラメータから見積もった D0とNwを図3に示す。層状性降水域の対流セルでは 最盛期(Zhが最大となった時間)に、Zhが40 dBZから 45 dBZで、D0がおよそ1.2 mmの平均値を示した。Nwは 対数平均で32,000-100,000 mm1 m3であった。一方、 対流性降水域の対流セルでは最盛期に、40<Zh<45 dBZで D0の平均値がおよそ2 mm、Nwは対数平均で 1000-10,000 mm1 m3であった。最盛期の孤立対流セルでは、 40<Zh<45 dBZでD0の平均値がおよそ2 mm、Nwは 対数平均で1000-10,000 mm1 m3であった。 これは、層状性降水域の対流セルでは多数の小粒径の雨滴がレーダー反射強度の 大きな値に寄与したことを示している一方、対流性降水域の対流セルと孤立対流セルでは、 少数ではあるが大粒径の雨滴の存在がレーダー反射強度の大きな値に寄与したことを示す。 最盛期以外で比較しても、対流性降水域の対流セルと孤立対流セルのD0は、 層状性降水域の対流セルについて見積もられたD0よりも大きい値を示し、 Nwは小さい値を示している。このことから、層状性降水域中の対流セル内では 多数の小粒径の雨滴が、対流性降水域中の対流セル内や孤立対流セル内では 少数の大粒径雨滴がレーダー反射強度の値に寄与しているという特徴が示されたと考えられる。

fig2

図2.地上のDSDデータ(1分積算値)から得られた、(a)D0, ξdrの 散布図と本研究で用いたD0-ZDR関係(実線; Bringi et al., 2006)、 およびD0, Zh/Nwの散布図と地上DSDデータから 最小二乗法で見積もったD0, Zh/Nw関係(実線)。

fig3

図3.観測された偏波パラメータから見積もった最盛期(Zhが最大となった時間) の対流セルにおける、(a)反射強度5dBZごとのD0の平均値と、 (b) 5dBZごとのlog10Nwの平均値。●は層状性降水域の対流セル、■ は対流性降水域の対流セル、△は孤立対流セルの値を示す。高度0.5kmから3kmのPPI (Plan Position Indicator)データを用いた。

北陸における降雪雲の偏波レーダ観測

冬季、低気圧の発達と通過に伴ってユーラシア大陸から寒気の吹き出しが起こり、 活発な上昇流を伴った降雪雲が日本海一面を覆うように形成される。降雪雲は 組織化してシステムを形成し、大雪や突風をもたらす原因となることが知られており、 これらのシステムの構造と発生・発達メカニズムを明らかにするためにこれまで 様々な観測が行われてきた。このうち降雪雲の内部構造として重要なものの一つである 気流場を測定するために、ドップラーレーダ等を用いた観測が行われてきた。しかしながら、 気流場と相互作用する降水粒子の3次元分布やその時間変化に関する詳細な観測は、 これまでにはほとんど行われていない。2007年秋に当センターに偏波レーダが導入された。 偏波レーダを用いることによって、降水粒子の形状・サイズ・数密度・姿勢などに関する 情報を得ることが可能である。そこで、降雪雲内の降水粒子の3次元分布とその変化過程を 明らかにするために、2008年12月から2009年2月にかけて偏波レーダ1台を石川県宝達志水町 押水庁舎屋上に設置して連続観測を行った。

観測期間中には強い寒気の吹き出しが5回起こり、このほぼ全ての期間をレーダによって 観測できた。このうち2009年1月25日から27日には、山陰から北陸の海岸部にかけて長時間に わたって停滞し、雷を伴って活発な降雪をもたらした降雪バンドを観測した。この事例に おける降水粒子の特徴を明らかにするために、偏波パラメータの特徴を調べた。降雪バンドが 上陸する付近では35 dBZから40 dBZに達する強いレーダ反射強度Zhをもったエコーがたびたび 形成され、降雪の強化を引き起こしていたと考えられる(図4)。この降雪強化域のうち、 2日間の時間平均Zhが最大となった部分を中心とした 10km 四方の領域(図4の矩形)を対象 として、各偏波パラメータの頻度分布を調べた。偏波間相関係数ρhvは、 図4における矩形領域内の99%の格子点において0.97以上の値を示していた。このことから、 表面が融解している固体粒子がほぼ存在しないと判断できる。したがって、存在する可能性 のある降水粒子は、乾いた雪か霰であると判断できる。過去の研究から、乾いた雪粒子の Zhは33 dBZ以下であると考えられるため、このケースでは33 dBZ以上のZh をもつ格子では乾いた霰が卓越していると考えることができる。この格子の割合は11%であり、 少なくとも11%の時間は乾いた霰が卓越した降水であった判断できる。偏波間位相変化率 KDPはZhが30dBZ以上で負を示す割合が増加する(図5)。これは 縦長姿勢で落下する紡錘形をした霰の割合の増加に伴うものであると考えることができる。

このように降雪雲内の固体粒子に関する詳細な情報を推定、議論できるようになってきた。 今後は、様々な降雪システムにおける偏波パラメータの特徴を、山岳域や海岸部といった 地域性を考えながら整理する必要があり、さらなる観測が必要である。また、それぞれの 粒子の種類毎の降水の量的な見積りも重要な課題として残されている。

fig4

図4.山陰から北陸の海岸部に停滞した降雪バンド中の下層エコーの時間平均場。 海岸付近における特に強い平均反射強度は、降雪の強化が起こっていることを示している。 矩形は頻度分布を調べた領域を示す。

fig5

図5.降雪強化域における偏波間位相変化率KDPの観測格子点に関する頻度分布。 (a)レーダ反射強度30 dBZ未満、(b)30 dBZ以上の格子点におけるものを示す。

西風卓越時において北陸沿岸部に停滞する線状降雪帯の形成・維持メカニズム

冬季寒気吹き出し時、北陸地方西部沿岸では、西南西から東北東方向に伸びる線状降雪帯の 停滞が観測されることがある。本研究では、2009年1月24日から26日かけて、北陸地方西部 沿岸に発生した停滞性線状降雪帯を対象として、雲解像モデルCReSSを用いたシミュレーション により、その形成・維持メカニズムを調べた。

このような特徴をもつ降雪帯は、2003年12月から2009年3月までの過去6冬季間に8事例を数えた。 これらに共通する大気環境場として、北陸西部下層において強い西〜西南西風が卓越しており、 下層の北西風が卓越する通常の寒気吹き出し時とは異なることが示された。

2009年1月24日から26日に発生した事例については、雲解像モデルCReSSを用いて再現実験 (標準実験)を行った。シミュレーション結果は、気象庁レーダの観測結果と比較して、 降水量、停滞位置をともによく再現していた(図略)。また、再現された線状降雪帯の下層 では、海上での西寄りの気流と、陸側での南寄りの気流との間で収束場が形成されており、 この収束によって降雪帯が形成・維持されていたと考えられる。

陸側での南寄りの気流の形成要因を調べるために、地形を除去した感度実験、陸上における 粗度を海上と粗度に変更した感度実験、陸面の熱的性質を海上の条件に変更した感度実験を 行い、再現実験の結果と比較した。その結果、陸面の熱的性質を海上の条件に変更した感度 実験の結果のみ、線状降雪帯・収束帯が形成されなかった。このことから、線状降雪帯の 形成・維持には地表温度の海陸差が本質的であったと考えられる。

線状降雪帯・収束帯の南側に位置する南寄りの気流の形成要因を調べるために、収束帯付近の 気塊に対して後方流跡線解析を行った。図6に日本列島の地形を除去した感度実験の結果に 対する後方流跡線解析の結果を示す。陸側の南寄りの気流の気塊の経路上で、運動方程式の 項別の時間変化を調べることで、気塊にかかっていた力についての考察を行った。図7に 収束帯の南側に到達した気塊を対象として、運動方程式を変形して得られる地衡風成分の 時間変化を示す。気塊が北陸地方に近づくにつれて、南寄りの風速(実線)が増加しており (図7中図)、この南寄りの風速の増加(加速)は気圧傾度力の増加により東西方向の 非地衡風成分(図7上図の実線と破線の差)の増大に起因すると考えられる。

fig6

図6. 地形を除去した感度実験における北陸地方に停滞した線状降雪帯(収束帯)の南北を 挟む領域からの後方流跡線解析の結果。2009年1月25日02時(日本時)JSTに北陸に到達した 気塊から12時間遡った経路を示す。

fig7

図7. 図6の後方流跡線解析の結果から、収束帯の南側に到達した気塊の東西風速(上図実線)と 南北風速(中図実線)の時間変化を示す。同時にそれぞれの風速の地衡風成分(破線)の 時間変化も示す。下図は気塊の風向(実線)と高度(破線)の時間変化を示す。

地上観測データを用いた雲解像モデルCReSSにおける雪と霰の割合の検証

雲解像モデルCReSSにおける霰の形成過程や雪から霰への変換過程の検討を行うために、 金沢大学に設置されている降雪粒子観測システムにより取得された雪と霰の体積の割合を 用いて、CReSSにより出力された固体降水における雪と霰の割合の検証を行った。

金沢大学の降雪粒子観測システムは降雪粒子をCCDビデオカメラで撮影し、画像処理を 行ってデジタル化することにより、個々の粒子の形状、粒径、落下速度、空間数濃度などを リアルタイムでデータベース化している。データベースに保存された個々の粒子に対する 複雑度(粒子の周囲長と等価円の円周長の割合)、孔の数、粒子の核数を用いて雪と霰の 識別を行った後に、側面から撮影されている各粒子の面積より等価面積円を仮定して粒子の 体積を計算し、雪と霰のそれぞれに対して1 分毎に積算することで総体積とした。

2008年12月24日から2009年4月7日までの間、中部日本海域を対象として水平解像度5 km (CReSS-5km) と、それにネストする形で石川県周辺を対象として水平解像度1 km (CReSS-1km) での毎日のシミュレーション実験を実施した。実験では、金沢大学角間キャンパス (北緯36.55度、東経136.71度) を含む格子点において、1分間毎の雪と霰の降水量を 出力し、観測結果と比較を行った。降雪粒子観測システムを用いた体積比の観測結果が 得られている2009年1月13日、1月15日、1月24日、2月16日の計4日間について比較を行い、 CReSSの出力結果における雪と霰の体積比の検証を行った。

図8に2009年1月15日0時から24時に金沢大学降雪粒子観測システムで取得された雪と霰の 1分毎の積算体積の時系列と、同期間のCReSS-1km での金沢大学の位置する格子点における 雪と霰による1分毎の降水量の時系列を示す。単位面積を考慮することにより、粒子観測 システムによる積算体積は降水量に相当すると考えられる。観測では間欠的に雪や霰の 積算体積が増加しており、降水セルの通過により雪や霰がもたらされたと考えられる。 また、観測ではこの期間中しばしば、雪による固体降水が見られるが、数値実験の結果では ほとんどが霰による降水である。図9に比較を行った計4日間の1時間毎の雪と霰の割合を 散布図で示す。観測、数値実験の結果とも雪と霰の積算体積の和に対する霰の積算体積の 割合を示している。分布が散布図の左上側に寄っていることから、数値実験の結果では雪に 比べて霰の存在割合が過剰であることが見て取れる。すなわち、CReSSで用いている冷たい雨 過程では、霰を多く形成してしまう傾向があることが示唆される。

fig8a
fig8b

図8. 2009年1月15日00時00分〜24時00分に金沢大学降雪粒子観測システムにより取得 された雪(黒色)と霰(灰色)の1分間の積算体積の時系列(上図)とCReSS-1kmによる1分間の 積算体積の時系列(下図)。

fig9

図9. 対象とする4日間の雪と霰の積算体積に対する霰の割合の散布図。 横軸は観測値、縦軸は数値実験の結果で、どちらの値も1時間積算値である。

日本海上の寒気流中に発生する竜巻

トルネードスケールの渦のことを我が国では竜巻と呼び、トルネードとwarterspoutを 明確に区別していない。それらは強い対流雲の下で発生する。竜巻の発生には2つのよく 知られたタイプがある。ひとつはスーパーセルタイプで、もう一つはメソフロントに 沿って形成される非スーパーセルタイプである。Niino et al. (1997) によると、日本 では竜巻の多くは海岸地域で発生し、その12% は冬季季節風に伴って発生するとしている。 日本海上では寒気の吹き出し時に背の低い対流雲が発達するが、この対流雲周辺で竜巻が 発生することがある。冬季の竜巻は海岸地域に災害をもたらすことがあるにもかかわらず、 その特徴や構造はほとんど知られていない。これらの竜巻が海上で発生し、その寿命も短い ために、その報告がKobayashi et al. (2007) を除いてほとんど無いためである。彼らは 日本海沿岸でドップラーレーダと写真撮影を用いて竜巻を観測し、雲底高度でのその水平 スケールがおよそ150mであることを示した。

2005年12月25日、山形県庄内平野の日本海沿岸で強風による列車事故が発生し、5名の死者が 出た。この地域での雪嵐に伴う突風の原因として、竜巻の発生した可能性が大きいと考えられる。 このような雪嵐に伴う竜巻の特徴と構造を明らかにする方法としては、高解像の数値 シミュレーションを用いた研究が有効である。竜巻の水平スケールが100 m程度と小さいために、 その再現には数10 mの解像度が必要となる。このような計算は非常に大規模なものとなる ために、地球シミュレータのような巨大並列計算機が必要となる。

本研究では3重ネスティングにより、竜巻の高解像シミュレーションを雲解像モデルCReSS を 用いて行った。水平解像度は大きいほうから、2000m、250m、および50mである。初期条件 として気象庁の予報モデル出力を用いた。計算領域を図10に示す。最も高解像度の50mの シミュレーションを2.5時間にわたって実施した。寒気の吹き出しが日本海上に起こり、 その前面において湿潤な南西風との収束域が形成されている。シミュレーションでは寒気流中に 発達した背の低い対流雲に伴って、正渦度と負渦度をもつ竜巻が発生した。正渦度をもつ竜巻の 典型例を図11に示す。これらの竜巻は0.3 s-1程度の渦度を持ち、最大地上風速は30 m s-1に 達した。シミュレーションで発生した竜巻の水平スケールは約200mで、これは Kobayashi et al. (2007) により観測された冬季の竜巻のスケールと同程度である。正渦と 負渦とも、竜巻の速度場は気圧場とバランスしており、旋衡風バランスであったことが示された。

fig10

図10. 3重ネスティングのシミュレーションで用いた計算領域。もっとも外側は2000mでの、 中間は250 mでの、もっとも内側は50 mでの水平解像度の計算領域を示す。濃淡は 水平解像度2000 mの実験における降水強度を示す。

fig11

図11. 正渦の竜巻の典型例。太実線は渦度、細実線は地上風速、矢印は地上風を示す。


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