質疑応答
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会場からのご質問:
延岡のシミュレーション実験で再現された竜巻の寿命はどのくらいか、また、その進行方向と移動速度はどのくらいか。
回答:
竜巻の寿命は10分程度で、進行方向はスーパーセルと同じく北向き。移動速度は正確には求めていないが、積乱雲の移動速度と同じであった。
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会場からのご質問
延岡のシミュレーションでは、多数のスーパーセルが再現されたようだが、その中で竜巻を発生させるものとそうでないものがあるのか。もしそうであるとするとそれはなぜか。
回答:
スーパーセルは多数発生し、75m解像度での実験でも複数のセルがシミュレーションされた。この実験ではそのうちのひとつが強い竜巻を発生させた。それ以外のセルは竜巻にを発生させないか、弱く短寿命の渦を伴うにとどまった。同じ環境下でもこのような違いがなぜ出るのか、なぜ竜巻を伴うものとそうでないものがあるのかについては、今後の詳細な解析が必要で、現時点では未解明である。
竜巻予測に関するコメント
竜巻予報を出すことの難しさは、竜巻予測の特殊性にある。降水や気温は、人間に比べて(あるいはモデルの格子点の大きさに比べて)はるかに大きな領域について、ある精度(誤差5mm/hrや1度など)で予測される。一方で竜巻の場合は、ある1地点で存在するかしないかを予測しなければならない。極めて小さい規模で、その1地点でみるとまれにしか発生しない竜巻を、しかもまだメカニズムも十分解明されていない竜巻を、このように予測することは非常に困難である。わが国における竜巻予測を発展させるためには、予報する側の努力はいうまでもなく重要であるが、一方で予報の受け手側(たいていは一般の市民)の竜巻予測の特殊性と難しさの理解も不可欠である。一言でいえば、竜巻予報が出て、それが的中しなかったとき、「ああ、この予報がはずれてほんとうによかった」と心底思えることが重要である。