坪木和久『激甚気象はなぜ起こる』(新潮選書) 【配本・発売日】5月25日配本/5月27日発売 【造本】四六判 【ページ数】400ページ 【定価】1600円(本体価格) 【目次】 まえがき 第1章 繰り返される災いの年 第2章 なぜ日本は激甚気象が多いのか 第3章 高気圧はなぜ猛暑をもたらすのか 第4章 水蒸気がもたらす大気の不安定 第5章 豪雨はなぜ発生するのか 第6章 台風 第7章 激甚気象は予測できるか 第8章 地球温暖化と気象災害 第9章 激甚気象から命を守るために あとがき 参考文献・資料 |
「まえがき」より2017年10月21日、日本時間14時37分、沖縄本島南東海上、高度43000フィート、私たちの乗った小型ジェット機ガルフストリームIIは、厚い壁雲を突き抜けて超大型のスーパー台風ラン(第21号)の眼に入った・・・ 「あとがき」より本書の企画を新潮社の今泉正俊氏からいただいたのは、ちょうど2018年の西日本豪雨のころだった。一般の人に「激甚気象」について理解してもらえるように、そもそも論から紐解いてほしいという依頼だった。 この激甚気象というのは、今泉氏の造語である。激甚災害をもたらす気象という意味で、激甚気象はまさに適切な表現だ。英語ではhigh-impact weather という言葉があり、それにぴったりと対応する言葉が激甚気象ではないだろうか。この言葉には気象のなかでも、人間社会に大きなインパクトを与える気象という意味が込められている。 近年、激甚気象とよべる現象が毎年災害をもたらしている。これらの激甚気象の発生により、私は内閣府の中央防災会議のワーキンググループなどに参加することとなった。これらの委員として、災害現場を訪問し、被災された自治体の方々から直接声を聞かせていただき、あらためて気象と防災を考える機会となった。これらの経験は本書に反映されている。 気象の教科書や解説書などはさまざまあるが、私はそれらとは少し違うものになるように書いたつもりである。その結果、途中でとんでもなく遠くに話が飛んだり、(ほんとうは避けたかったが)自身の体験談もあちこちに出てきてしまったりした。対象とする読者も文系の一般の人と指定されていながらも、なかには大学院レベルの内容も含まれている。専門用語も遠慮無く出ていて、やや難解な部分もあるかもしれない。しかしそれ故にかえって幅の広い読者層に読んでいただき、まったくの分野外の人にも、新しい知識を発見していただけると期待している。 本書は「あとがき」より読んでいただくと、より意図をくみ取っていただけると思います。謝辞本書の執筆では多くの方にご協力いただきました。名古屋大学名誉教授の上田博先生には原稿全体を見ていただき、貴重なコメントをいただきました。中北英一先生(京都大学防災研究所教授)、森信人氏(同教授)、山田広幸氏(琉球大学理学部准教授)、伊藤耕介氏(同准教授)、伊賀啓太氏(東京大学大気海洋研究所准教授)、山口宗彦氏(気象庁気象研究所応用気象研究部主任研究官)、今田由紀子氏(同気候・環境研究部主任研究官)、瀬古弘氏(同気象観測研究部部長)、益子渉氏(同台風・災害気象研究部室長)、横田祥氏(気象庁予報部数値予報課技術専門官)、大東忠保氏(防災科学技術研究所主幹研究員)、出世ゆかり氏(同主任研究員)、篠田太郎氏(名古屋大学宇宙地球環境研究所准教授)、島川英介氏(NHK)の皆様には、それぞれの専門の部分について、原稿を読んでいただき、事実誤認の指摘、文章の修正、さらに内容への重要なコメントをいただきました。また、本文中で使用した貴重な図、写真、資料などもご提供いただきました。鈴木康弘先生(名古屋大学減災連携研究センター教授)には、地震の部分について間違いの修正と貴重なコメントをいただきました。東京大学の片田敏孝先生には、内閣府避難ワーキンググループでの発言の修正などでご協力をいただきました。図の作成には加藤雅也氏(名古屋大学宇宙地球環境研究所研究員)に多大なご協力をいただきました。浅学の私が本書を仕上げることができたのは、ここに記した皆様のおかげで、深く感謝申し上げます。 |