科学研究費助成事業(科研費)基盤研究(S)

豪雨と暴風をもたらす台風の力学的・熱力学的・雲物理学的構造の量的解析

T-PARCII

(Tropical cyclones-Pacific Asian Research Campaign for Improvement of Intensity estimations/forecasts)



研究の目的

 名古屋大学宇宙地球環境研究所附属飛翔体観測推進センターは、科学研究費助成事業(科研費)により、2016年度から5年間(2016〜2020年度)にわたって、台風の航空機を用いた直接観測を実施します(研究代表者:坪木和久)。

 台風よる災害の軽減や防災のための大規模避難の実施のためには、台風の進路とともに強度の正確な予測が不可欠です。特に近年、日本を含む東アジア地域では、地球温暖化に伴う台風リスクの増大が懸念され、台風の予測の高精度化の社会的要請がますます大きくなっています。

 しかしながら、台風強度については予測だけでなく、現状は台風の強度解析値にも大きな不確定性が含まれています。この強度の不確定性は強い台風で特に顕著になります。これは台風の海上における観測データが極めて少ないためです。また、台風強度をコントロールする物理過程に量的未解明点がたくさんあるからです。

 本研究では、航空機を用いて台風とその環境場の直接観測を行い、台風の強度解析の精度を高めます。また、レーダ観測と地上からの気球観測により台風に伴う雲・降水や雲粒子の観測を行います。またドローンを用いた海面からの熱や水のフラックス、エアロゾル観測にも挑戦し、台風における量的に未解明な物理過程の数値モデルプロセスを改良します。

 さらに航空機観測のデータを、物理過程を改良した雲解像モデルに取り入れる(同化)することで、台風の強度や進路の予測を格段に向上させ、台風に伴う暴風や豪雨による災害の軽減をめざします。

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