名古屋大学地球水循環研究センター共同研究課題

「グローバルスケールとメソスケールを貫く気象学」研究集会



日時:12月25日(木)13:00 〜12月26日(金)12:45

場所: 名古屋大学環境総合館3階講義室2

12月25日(木) 【座長】篠田太郎(名大地球水循環)
13:00 〜 13:10 趣旨説明 篠田太郎(名大地球水循環)・稲津將(北大院理)
13:10 〜 13:40 海面水温を変えた熱帯低気圧の温帯低気圧化の数値実験 勝部弘太郎・稲津 將*(北大院理)
13:40 〜 14:10 夏季オホーツク海の局所的な低水温がもたらす総観規模循環への遠隔影響 立花義裕*・藤田 啓(三重大院生物資源)
14:10 〜 14:40 再解析データを利用した総観〜メソαスケール低気圧の気候学的研究 柳瀬 亘(東大大気海洋研)
14:40 〜 15:10 客観的追跡手法を用いた冬季日本海上で発生する渦状擾乱発生環境場の統計解析 渡邉俊一*・新野 宏(東大大気海洋研)
15:10 〜 15:30 休憩
15:30 〜 16:00 集中豪雨が発生する総観〜メソαスケール環境場の統計解析 津口裕茂*・加藤輝之(気象研)
16:00 〜 16:30 日本の暖候期における停滞性降水系発生時の環境条件 鵜沼 昂*・竹見哲也(京大防災研)
16:30 〜 17:00 雲解像モデルによるダウンスケール実験で再現された期間最大降水量の検証 加藤雅也(名大地球水循環)
17:00 〜 17:30 チベット・ヒマラヤ山域における降水過程に内在するメソースケールと総観場の相互関係 上野健一*・金子峻也(筑波大生命環境)・杉本志織(首都大学東京都市環境)
17:30 〜 18:00 メソ気象と総観気象のつながり−予測可能性研究の視点から− 吉田聡*(JAMSTEC)・榎本剛(京大防災研)・山口宗彦(気象研)・ 山崎 哲・中野満寿男(JAMSTEC)
18:00 終了
18:30 懇親会


12月26日(金) 【座長】稲津將(北大院理)
09:45 〜 10:15 正20面体力学コアの高精度化について 三浦裕亮(東大院理)
10:15 〜 10:45 夏季の東アジア・北西太平洋上の降水と水輸送の総観的な変動に対する上部対流圏の影響 堀之内武*・林歩夢(北大地球環境)
10:45 〜 11:15 インド洋ITCZ波動擾乱と中緯度−熱帯相互作用 福富慶樹(JAMSTEC)
11:15 〜 11:45 台風の発生に関わる熱帯波動とメソ対流システム 山田広幸(琉球大理)
11:45 〜 12:15 非静力学大気海洋結合モデルCReSS-NHOESを用いた台風の発達に影響を及ぼす環境因子の評価 久保圭之・篠田太郎*(名大地球水循環)・相木秀則(JAMSTEC)・吉岡真由美(東北大大気海洋)・加藤雅也・坪木和久・上田博(名大地球水循環)
12:15 〜 12:45 総合討論
12:45 終了

発表者のみなさまへ

発表時間は一人当たり30分(発表20分・質疑10分)です。

研究集会の報告書を取りまとめるために、発表後に講演スライドのうち提供できるものをUSBメモリ(当日回します)で篠田まで提供していただきますようお願いいたします。

参加者のみなさまへ

研究集会の聴講は自由です。聴講されたい方は直接会場までお越しください。

研究会終了後(12月26日午後)、名古屋大学地球水循環研究センターに導入されたKa帯雲レーダの見学会を行いたいと考えております。見学を希望される方は、研究会終了後(昼食後)に1〜2時間程度、時間を空けておいてください。

集会の趣旨

現象の時間的空間的スケールの多様性とそのスケール間の相互作用は気象学の本質である。これまでグローバルスケールの気象学においてはロスビー波力学とハドレー循環という理論的支柱のもとに気候力学解析が精力的に行われてきた。一方、メソスケールの気象学においては観測的事例研究によってその多様な動態の解明に重きをおいてきた。この両者は独立なものではない。たとえば、メソスケール現象は大規模場の状況が降水システムの形状や移動速度に影響を与える。逆に、そのようなメソスケールの降水システムの集合が、グローバルスケールの気候形成や気候変動に影響を与える。とくに、全球気候モデリングにおける積雲、雲凝結、境界層、および乱流のパラメタリゼーションは、気候変動シミュレーションの不確実性の要因となっている。従って、メソスケール現象の素過程を理解した上でグローバルスケール気候の課題の解決にあたることが求められている。

本研究集会では、相互に強く作用し合うグローバルスケールとメソスケールの気象現象について、観測、統計解析、およびモデリングなど手法を問わず現状の課題について議論する。メソスケール気象の立場からは、個々の事例解析ではなく、その統計的な特徴やグローバルスケール現象とのかかわりについての検討を行う。そして、グローバルスケール気象の立場からは、全球雲解像モデルにおけるメソスケール現象の再現性や、全球気候モデルにおけるパラメタリゼーションとメソスケール現象との関係を議論する。グローバル気象とメソスケール気象はそれぞれ独自に発展してきた分野であるが、このような研究集会を通じて研究内容のみならず人的な交流を展開することも目的とする。