電子レンジと気象衛星

1. はじめに

気象衛星は宇宙空間から地球に向かって電波を照射することで, 今どこに雨雲があるのか, あるいは晴れているのかを調べることができます. どうしてでしょうか?

2. 電波による反射

電磁波 (電場と磁場を変動させて伝播する波) は

3. 電子レンジとの関連

この仕組みを日常生活で応用している代表例が電子レンジです. 電子レンジは電波を物体に照射することで, 物体の内部に存在する水分を振動 (分子を運動) させます. 分子が運動すると, 運動エネルギーが増加します. 運動エネルギーは熱エネルギーに変換され, 物体は温かくなります. このようにして物体を温めるのが電子レンジのおおまかな仕組みです.

4. 「あたため」と「解凍」

最近の電子レンジではボタンに「あたため」と「解凍」があるようです. 何が違うのでしょうか?実は, 電波を当てて分子を振動させるといいましたが, どのような電波があたっても振動するのではありません. 水なら水が振動する固有の振動数というものが存在します. もちろん, 水だけではなく, この世のあらゆるものにそのような固有振動数が存在します. しかし, その振動数は物質によってまちまちで, 場合によっては同じ物質でも相状態が異なるだけで固有振動数が異なる場合もあります. そのような典型例が実は水 (H2O) なのです. 水の固有振動数と氷の固有振動数が異なるということは, 水の固有振動数に合わせた電磁波を照射しても氷の分子を振動させることはできないので, 熱エネルギーが発生しないということになります. これが「あたため」と「解凍」という 2 種類のボタンが存在する理由です. 「あたため」を押すと水に対する固有振動数に調整された電磁波が, 「解凍」を押すと氷に対する固有振動数に調整された電磁波がそれぞれ照射されるという仕組みです.

下に示す動画は水と氷の固有振動数の違いを検証する簡単な実験です.