宮古−多良間島域ドップラ−レ−ダ−観測実験

観測プロジェクトについて

「台風に伴う豪雨現象の解明を目指して」

     台風がもたらす大規模な災害

台風は夏に日本の南海上でしばしば発生し、そのうちのいくつかは発達して日 本に接近します。台風は暴風と豪雨をもたらすので、日本に接近あるいは上陸し た時に大規模な風災害や雨災害をもたらすことがあります。また台風に伴って発 達する降雨帯により、豪雨がもたらされ甚大な災害が発生することもあります。 2004年の台風21号に伴う三重県宮川村での土石流災害や、同年の台風23号による 京都府舞鶴市での道路の冠水の災害は記憶に新しい事と思います。

 

 

     台風はどのような構造をしているの?

では、台風はどうして激しい降水や風をもたらすことができるのでしょうか? それを知るためには、台風の構造や発達のメカニズムを知る必要があります。し かしながら、台風を構成する雲の構造や発達の過程、また台風に伴って発生する 豪雨の形成については未だによく分かっていません。地球上で非常に激しい気象 現象の1つである台風の構造と発達のメカニズムの理解には、実際の現象の詳細 な観測が必要です。

 

 

     台風観測の難しいところ

それでは「台風を観測しましょう」となるのですが、それには様々な困難があ ります。特に一番の困難は、「台風がいつ、どこを通過するのか?」事前に予測 することができない事です。様々な気象要素を高精度に測る高性能な観測機器を 導入しても、現象が来ないことには何もする事はできません。台風観測の最も重 要な点は、台風が通過する可能性が最も高い地域に特別観測を設定することで す。

 

 

     どこで観測を行うか?

ではどこで観測を行えば台風をとらえることができるでしょうか?

そこで我々 は、沖縄県の宮古島域に注目しました。ここは2000年から2005年にかけて毎年台 風の影響を数多く受けていることが分かりました。つまり、ここで観測を行え ば、台風やそれに伴う降水現象をほぼ確実に観測できると考えました。

 

 

     いざ宮古島域へ

ということで本観測は、台風の構造と発達の過程、そしてそれに伴う豪雨形成 の解明を目的として、名古屋大学地球水循環研究センター所有の2台のドップ ラーレーダーを宮古島域の下地島と多良間島に設置して、台風とそれに伴う降 水現象を対象とした観測を行います。また同時に、梅雨期や暖候期に発生する台 風以外の降水現象も対象として観測を行います。

 

 

※本観測は、科学研究費補助金基盤研究(A)「台風に伴う豪雨の高精度量的予測と 降水形成機構の解明」(研究代表者:坪木和久)の一環として、京都大学防災研究所 と共同で行われています。

 



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