日本海寒帯気団収束帯上の帯状雲と
その南端に発生した渦状擾乱の3次元構造について

高松 尚子

冬季の季節風卓越時、日本海には帯状雲が発生し、これに沿って渦状擾乱も発生することがある。これらの現象は上陸した地点に豪雪や突風をもたらす。

2000年12月から2001年2月にかけて名古屋大学のドップラーレーダーを北陸地方の日本海岸に設置し、冬季に日本海上で発生するメソスケールの気象擾乱に関して実態や発生・発達のメカニズムとその階層構造の解明を目指して観測を行った。観測期間中の2001年1月4日には、日本海西部で発生した帯状雲が2台のドップラーレーダーにより観測された。本研究では、帯状雲の3次元構造を明らかにすることを目的とし、主にデュアルドップラーレーダー解析を行なった。

1月4日の気圧配置は西高東低の冬型で、日本海上の帯状雲は日本海寒帯気団収束帯に沿って形成されていた。帯状雲の南端では強い降水が見られ、帯状雲の通過に伴って2度程度気温が降下した。

帯状雲に伴うエコーは、幅が数10kmで長さが100km以上のバンド状をしており、その中がさらに走向の異なる線状エコーにより構成されていた。南端の線状エコーは強い反射強度を持ち、中でも強いところには渦が存在し、そこから北側に走向の異なる線状エコーが伸びていた。気流構造については、バンド状エコーの南端にシアラインが存在し、そこで強い収束が起こっていた。また、このシアライン上には低気圧性循環が存在していた。

帯状雲の南端では渦状エコーがいくつも形成され、デュアル解析領域では水平スケールが15km〜20kmの渦が見られた。渦状エコーには反射強度の小さい渦の目と呼ばれる部分があり、そこには下降流と暖気核が存在した。また対流と渦の活動には関係のあることが示唆された。渦状擾乱の成因については水平シア不安定が示唆された。そして、渦状擾乱がもたらす作用として水平シア不安定の解消と竜巻の発生への関与が考えられた。
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