孤立した山の風下に形成される帯状降水システムに関する数値実験
石河 大
湿潤な流れの中に孤立した小さい山を与えたとき、
どのような降水システムが形成されるか、
形成されるとしたらそのメカニズムは何かということを調べるために、
オクラホマ大学が開発したARPSと呼ばれる数値モデルを用いて数値実験を行った。
山の風下側では山を回り込む流れによる収束により対流雲が発生した。
この対流雲はすぐには発達せず、
少し風下に流されたところから発達した。
発達した対流雲は長時間維持された。
この長寿命の対流雲は自らが形成する循環によって、
維持されたと考えられる。
このような長寿命の対流雲が山の風下側に次々発生することで、
帯状の降水システムが形成されたと考えられる。
またこのシステムでは対流雲の分裂が起こった。
これは強い降水による強い下降流が、
上層の水平運動量を下層に運ぶためだと考えられる。
また対流雲の分裂が起こった後は、
降水が強化された。
今回のケースにおける帯状降水システムの形成には、
山の存在が本質的であり、
また雲物理過程、
特に氷を含む雲物理過程が本質的であることが示唆された。
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