梅雨期の日本列島周辺の降水量の変動に関する研究

鈴木 崇裕

1992年から1995年までを中心として、月降水量、海面気圧、上層雲量など の年々変化を解析した結果、梅雨期の日本列島周辺の降水量の変動について、次の事実が 見いだされた。
1992年から1995年にかけては、少雨と多雨の年が1年毎に発生するという顕著 な傾向がみられた。この傾向は1990年、1991年にもみられるが、それ以前の7年 間にはみられない。1992年から1995年までの少雨、多雨は全国的な現象であるが、 1991年以前では、全国的に同一の多雨、少雨の傾向はみられない。
6月、7月に降水量の多い年と少ない年では、梅雨前線に伴う雲量にかなりの差がある。 特に特徴的なことは、1994年7月に梅雨前線に伴う雲帯がみられないことである。ま た、少雨の1992年、1994年には雲帯が日本の南海上にあるのに対し、多雨の 1993年、1995年には雲帯の中心は日本列島上にかかっている。しかし、1991 年以前では、多雨、少雨の年においても、梅雨前線に伴う雲帯の南北方向への顕著な移動 はみられない。
人工衛星のSSM/Iデータから海上の降水量を評価し、上層雲量と比較した。最も特 徴的であったのは、多雨であった1993年6月と少雨であった1994年6月を比べる と、同じ雲量に対して1993年6月はSSM/I降水量が1994年6月よりかなり多 くなっていることである。これは、1993年6月は、1994年6月に比べ、梅雨前線 を構成する雲として活発な積乱雲の占める割合が大きかったことを示唆している。
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