大雨をもたらしたメソスケール雲群複合体に関する研究
森 昌彦
1993年6月、7月に、九州南部を中心として、西日本に異常の多量の降雨がもたら
された。これらの雨をもたらしたメソスケール雲群の特徴を、1982年、1983年、
1985年、1986年の6月、7月の場合と比較しながら調べた結果、以下のことが見
いだされた。
(1) 九州南部を通過するメソスケール雲群は、しばしば複数のものからなる複合体を構
成する。
(2) 1993年6月1日から7月10日までに九州南部を通過したメソスケール雲群複
合体の個数は、他の年に比較して大きなちがいはない。しかし、メソスケール雲群複合体
が九州南部広域にもたらした降水量は他の年に比べてかなり大きく、また、降雨期間中の九
州南部への水蒸気流入量が同じであっても、1993年のメソスケールの雲群複合体は他の
年のものに比べて多量の雨をもたらしたものが多かった。
(3) 九州南部を通過するメソスケール雲群の個数が多いことが、それらからなる複合体
が九州南部にもたらす雨が多いことを、必ずしも意味しない。
(4) ゆっくりと九州南部を通過するメソスケール雲群を含むことが、複合体全体が九州
南部の広域に多量の雨をもたらす1つの原因である。
(5) メソスケール雲群が九州南部に多量の雨をもたらした原因として、雲群通過時の水
蒸気流入量が多いことと、雲群内に活発なメソβスケールの降雨システムを多く含むこと
が見いだされた。
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