6月23日のアオダス情報(大議論大会、開催中)


送信者:Shingo SHIMIZU <shimizu@gf7.so-net.ne.jp>
送信時刻:2002年6月23日 22:34

名古屋の皆様
清水@青レーダー です。

篠田さん、上田先生、コメントありがとうございました。
今日は、あまり、エコーも取れなかったので、いい機会ですので、
お二人のコメントについて、もう一度、考えて整理をしたいと思います。

さて、議論に入る前に、事務的な連絡です。
このchinaobsのメーリングリストは、北大低温研の人達にも
非常に重宝がられているようです。このページを見ることで、
青レーダーの報告と東山サイトで見えたエコーを比較することができるので、
現象を知る手がかりになると新井さんがおっしゃっていました。
そこで、このメーリングリストの管理者様(おそらく、前坂さん)
にお願いがあります。北大の橋本さんがぜひ、このメーリングリストに
参加したいとの希望があったので、橋本さんを加えて頂きたいと思います。
橋本さんからも、東山サイトの情報を提供して頂ければ、
こちらとしても、またいろんな見方ができてるので、ありがたいです。
橋本さんのメールアドレスは、一応、問題があると良くないので
後で、前坂さんに別のメールで送ります。よろしくお願いします。

さて、本日の本題です。
まず、これまでのメールで提案された
篠田さんと上田先生のご意見をまとめてみると
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>shimizu 6月20日に下層収束がはっきりしない、
     そんなに反射強度が強くない、ライン状降水システム
    (周りは層状性エコーに囲まれている)が観測されました。
     その降水システムに伴って、断続的に落雷があった。

という報告に対して、

>shinoda (a) 下層収束は弱い(おそらくは下降気流が弱い、つうことは中層
         は湿っていると考えられる)。このことは典型的なアジア的対
         流雲の発達過程の条件であると考えられる。むしろ、湿った条
         件において大規模上昇流が存在すれば、広い範囲で層状的な降
         水エコーが観測されるだろう(清水くんの報告に合致)。
         (b) 雷が観測されたということは、おそらくは強い上昇気流が発生
         したのでしょう。問題はこの強い上昇気流が何によってもたら
         されたかということです。

>shinoda ここで清水くんに訊きたいのは、発雷は連続して長い時間に渡って
         発生したのか、短い時間内だけで発生したのか(一つの対流セルか
         らもたらされたのか)ということですね。

>shinoda 偶然、対流システムとして場を改変し、一発だけ強い収束を作った
         というのはあるかもしれない

つまり、篠田さんの主張は、

大規模場としては、層状性の降水が出来やすい場であった。
しかし、落雷は、そのとき、偶然できた、対流性エコーによるものである。

これとは、違って上田先生の主張は、

>uyeda  層状域からの落雷は最近特に注目されています。

>uyeda 融解層以下では層状でも上空では対流的
    なエコーが見られているかもしれません。

層状域でも落雷はおこる可能性がある。
(もしくは、下層に根を持たない対流による)
というコメントを頂きました。
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まず、お答えしなければならない事は、落雷は
30分くらい断続的に観測された。目の前が真っ白になるくらい
激しいのが2回。後は5分置きに。だんだん遠くへ。
そのとき、赤レーダーに電話したら、落雷は観測されなかったという
報告がありました。

このことから、考えて、そんなに広い範囲で落雷があったとは思えないので、
やっぱり、どこかに対流性エコーがあったのでしょうか。

仮に対流性エコーがあったとして、
そのことをどういう風に考えたら、面白くなるかについて、考えてみました。

>shinoda アジア的対流雲の発達過程
	 通常の「梅雨前線的」な降水は、下層と中層が十分に湿っ
	 ているために下層において水蒸気が凝結してしまい、高度
	 が低いうちに降水として(暖かい雨過程)地上に落下して
	 しまう。このために、融解層よりも高い高度まで到達でき
	 る水蒸気量が決定的に少なくなる。冷たい雨過程が全く効
	 かないことはないだろうが、降水の中心は暖かい雨過程で
	 あろう...

>shinoda 偶然、対流システムとして場を改変し、一発だけ強い収束を作った
         というのはあるかもしれない
	# 偶然できた深い対流であるとすれば、それはそれで、
	# なぜ出来たのかの発達過程を明らかにすることも興味
	# 深いテーマですよね。


>uyeda アジアンテーストをつけるとしたら、どのような層状域がど
       のように形成されたかを明らかにすることだと思います。
       しっかりした観測をして、現場でどのような現象であったか
       を整理して考えておいてください。

まず、去年との比較をしてみますと、
落雷があったのは、2001年6月19日(CASE2)だけでした。
そのときは、非常に強い風が地表付近でも観測され、雨ももっと大粒。
周囲には、そんなに多くの層状性エコーが見られなかった。
非常に強い対流性エコーが存在し、背は高く、下降流も強く、
下層収束もシングルドップラーで十分、分かった。
RANALで見ると上空には、乾燥した成層があり、またCAPEも大きかった。
篠田さんがいう、アメリカ的な対流システムが発達しやすい環境場であったと
思われます。(厳密に言うと、下層の湿度が高いという相違点もあるが)

今年のケースと去年のケースの共通点は、
cold rainプロセスを持っていたことが挙げられます。
相違点は、(RANALでちゃんと見る必要があるが)下層は、去年より
湿っていたし、ガストのような強い風がなかった。下層収束も弱い。

これらの事から、今回のケースは、去年観測されなかった、
4つ目のカテゴリーとして分類できそうである。
(CASE1:全層湿って、warm rain)
(CASE2:上層乾いて、cold rain)
(今年:下層湿って(??上層は?)、cold rain)
今年のケースと去年のCASE2を比較することで、cold rainプロセスが
起こるためには、どのような環境場が必要であるかを考える事ができる。
また、アジアンテーストをトッピングするためには、
それぞれ4つのカテゴリーで、低い凝結高度という共通点を持った上で、
どういう環境場がシステムの発達において重要であるかを明らかにし、
アジアモンスーン域のような下層が湿った地域での降水システムの発達が
明らかにできたらなーって。考えております。

最近、CIN(対流抑制)の分布図も書けるようになったので、
なぜ、発生しないのか?についても、面白いなーって眺めたりもしています。

観測サイトでエコーを見ながら、いろいろなことを考える機会があり、
また、山田さん、陳さんとゆっくり研究の事、研究者の生活ぶり、
Drコースでの生活、もうすぐ生まれる赤ちゃんの名前の事、など
いろーんな話ができて、本当に楽しいです。

特に今回の観測の責任者である、山田さんを見ていると本当に勉強になります。
あー、これがお金をもらって研究をする人なんだなーって、感じました。
本当に何でも出来ちゃうのが、すごい。レーダーとかもだいたい直しちゃうし。
毎日、心の中で、すげーって、思っています。
僕と一緒にふざけてもくれるので、楽しく観測が行えています。

明日からも頑張ります。長い文でごめんなさい。
今から小燕に会う約束があるので、失礼します。
さ、電話しなきゃ。


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Shingo SHIMIZU   shimizu@gf7.so-net.ne.jp